よくある疑問
- 概念的思考って何?
- 概念的思考ってどんなメリットがあるの?
- 概念的思考のトレーニング方法を知りたい
上記のような疑問に答えていきます。
仮説思考、論点思考などよく聞く「〇〇思考」違って「概念的思考高めろよ!」と言われることはなかなかないですが、
「概念的思考」は、優秀なビジネスパーソンのコンピテンシー(高業績者の行動特性)です。
つまり、優秀な人は共通して概念的思考力に長けているということです!
特に経営者や管理職など、会社でも上のレイヤーになればなるほど必要になってくる思考法です。
本記事は、概念的思考について例題つきでわかりやすく解説していきます!
こんな方におすすめ
- 部下を持つ管理職の初級者
- 概念的思考に自信がない人
- 概念的思考がよくわからない人
この記事の信頼性
この記事を書いている僕は、本業は東証プライム上場企業の管理職を務めています。
- 上場企業の管理職
- 200名以上の従業員マネジメント経験
- 現在はIT企画部門
- 10億円以上のプロジェクト担当
- 経営層に向けたプレゼンが日常業務
業務はこんな感じです。
ビジネス思考は得意分野です。
(Twitter:@logithin_labo)
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概念的思考とは何かを簡単に解説【そもそも概念とは】
概念的思考とは、簡単にいうと「概念をつくる思考法」です。
通称コンセプチュアル思考といいます。
そもそも「概念」とは
概念とは、「ものごとの本質をとらえる思考」の意味です。
形式論理学で、事物の本質をとらえる思考の形式。
個々に共通な特徴が抽象によって抽出され、それ以外の性質は捨象されて構成される。内包と外延をもち、言語によって表される。出典:コトバンク
似たような使い方をする単語として「観念」「コンセプト」などがあります。
【概念とは】当たり前のことを深く考えること
概念をとらえることで、ものごとを実体だけでなく、視点を変えて見る力が身につきます。
言い換えるならば、当たりのことをより深く考える力と言えるでしょう。
上記のキャンピングカーの例で考えてみましょう。
キャンピングカーは、それ単体で「居住空間」「調理空間」「移動手段」を兼ねたものになっています。
キャンピングカーという具体の手前にあるのは以下のようなことがあげられます。
キャンプをするためには
- 家以外での居住空間が欲しい
- 家以外で調理できる空間が欲しい
- 家以外の場所に移動する手段が欲しい
これらを概念化すると「キャンプ用品」という概念になるわけです。
このようにものごとを概念的に考えられると
キャンピングカーって何で売れるんだろう?
→居住空間、調理空間、移動を兼ねているから便利なのか
上記のように本質を見抜き、当たり前のことをより深く考える力が身につきます。
【カッツの3能力】概念的思考はリーダーには必須の能力
結論、概念的思考を身につけることでものごとを広く見ることができるからです。
そして、出世や昇進するためには概念的思考が必ず必要にあります。
ここでは、カッツの3能力を紹介します。
経営学者のロバート・カッツ氏が提唱したカッツの3能力は、組織の運営が成功するのに必要な能力といわれています。
カッツの3能力
- テクニカル・スキル :業務遂行能力
- ヒューマンスキル :対人関係能力
- コンセプチュアル・スキル :概念化能力
マネージャーレベルが上がるほどテクニカル・スキルの重要度が相対的に下がり、コンセプチュアル・スキルの重要度が高まる。
組織において職位が上がるほど、自分で手を動かす機会は少なくなります。
その代わり、ものごとを俯瞰(ふかん)してとらえる概念的能力が求められるということです。
本質をとらえて課題解決につなげる
もしあなたが経営者でも会社員でも、仕事の本質は課題解決の連続です。
- 誰かが求めていること
- 誰かが悩んでいること
- 誰かが困っていること
上記のような「ニーズ」を理解し、製品やサービスにしていくこと事業活動につながります。
概念的思考力を高めることによって、ものごとの本質をとらえて課題解決につなげていきましょう。
概念的思考力を高めると得られる【3つのメリットを解説】
概念的思考は、以下の3つがメリットです。
- 柔軟な発想力が身につく
- 本質を見抜く力が身につく
- 大局観をとらえる力が身につく
それぞれ解説していきます。
メリット①:柔軟な発想力が身につく
本記事を読んでいただいている方ならお気づきかもしれないですが、概念的思考ができると柔軟な発想力を得ることができます。
「【概念とは】当たり前のことを深く考えること」であげたキャンピングカーの例で考えてみましょう。
- 概念:キャンプ商品
↓ - 抽象:家以外の居住区間・調理空間、移動手段
↓ - 具体:キャンピングカー
上記の例は、移動手段である車と居住空間を兼用できるものとして発想したものです。
「車」という実体から少し視点を変えることで、柔軟な発想がしやすくなります。
このように「概念」を様々な分野へ応用する発想法を「アナロジー」ともいいます。
概念的思考ができる=アナロジー思考ができるようになる、ことにもつながります。
アナロジー思考も別の記事で解説していますので参考にしてみてください。
メリット②:本質を見抜く力が身につく
本日を見抜く力は、目に見えない背景を読み解く力、洞察力につながります。
前述のキャンピングカーの例を再度考えてみましょう。
「車」という実体だけで考えると何も浮かばないですが、なんのための「車」なのか考えると
例えば「移動手段」であるという用途、「モノを運ぶ=物流」という用途など、個別の背景がみえてきますよね。
このように概念としてとらえることで、ものごとの本質を見抜く力が身につきます。
メリット③:大局観をとらえる力が身につく
大局観とは、ものごとの全体的な状況や成り行きに対する見方・判断のことをいいます。
言い換えると、ものごとを俯瞰(ふかん)でとらえて全体を把握する能力のことです。
ひとつひとつの実体ではなく、概念として広く理解することで、抑えるべき勘所やポイントを把握することができます。
「【カッツの3能力】概念的思考はリーダーには必須の能力」で解説したように、
概念的思考が、リーダー<幹部<経営と職位が上がるほど必要になってくるのは大局観をとらえる必要があるからです。
少しだけ補足ですが、職位が高いということは
- 少ない時間で多くの量をこなせる
- 少ないエネルギーで高い成果を出せる
- 1人で多くの人数を管理できる
上記のようになります。
ひとつひとつの担当レベルではなく、全てを広く把握する能力は仕事の規模が大きくなればなるほど必要になってきます。
ゆえに概念的思考は必須能力となってくるわけです。
概念的思考のトレーニング方法を3ステップで解説【例題あり】
疑問:概念化って、優秀な人とか起業家みたいな天才ができることなんじゃない?自分には難しそう。
こう思う方もいると思いますが、概念的思考には「ハンモックモデル」というトレーニング方法があります。
本章では、ハンモックモデルを使って、概念的思考のトレーニング方法を3ステップで簡単に解説していきます。
概念化思考のトレーニング方法3ステップ
- 抽象化 :具体的な事象や経験から本質部分を抜き出す
- 概念化 :本質の部分を言葉や図にして表現する
- 具体化 :概念を行動に活かす
これら3ステップをスタバのコンセプトを例に概念化して過程を解説していきます。
例題:スタバを例に概念的思考のプロセスを考える
スタバには「サードプレイス=第3の場所」という企業コンセプトがあります。
- ファーストプレイス:家
- セカンドプレイス :職場
当時のアメリカは、レーガン大統領時代で激しい競争社会、自己責任の時代だったため職場でも激しい競争の渦中にいないと役員だろうが首になってしまうような時代でした。
そして、家に帰れば配偶者の前では一番素敵な存在でなければいけない。
考えただけでも息がつまる時代ですよね。
つまり、ファーストプレイス(=家)、セカンドプレイス(=職場)でも常に気をはっていないといけない、そんな時代でした。
スタバの概念化プロセス
- 抽象化 :毎日競争の波にもまれて気が休まらない
- 概念化 :人々は「気が休まる場所」がほしい
- 具体化 :コーヒーショップで「気が休まる場所」を提供し、ついでにコーヒーを売ることで事業活動する
スターバックスのCEOだったハワード・シュルツ氏によると
スターバックスはコーヒーを売っていません。
確かにコーヒーを売っているように見えるかもしれませんが、本当に売っているのは「第3の場所」、サードプレイスなのです。
これがスターバックスのもともとのコンセプトです。
スタバの「サードプレイス(=第3の場所)」というコンセプトは非常にわかりやすく人々の悩みを概念化して事業活動にかえていますよね。
そして、この概念化をトレーニングするためにハンモックモデルという考え方があります。
次項から解説していきます。
やり方①:ハンモックモデルで考える
概念的思考のトレーニング方法である「ハンモックモデル」を解説していきます。
キャリア・ポートレートコンサルティング代表で人材教育を手がける村山昇氏によって提唱されたモデルです。
トレーニング方法は冒頭で解説した3ステップ同様です。
やり方②:π(パイ)の字思考ワークで考える
そして、ハンモックモデルを元に概念的思考につなげる方法が「π(パイ)の字思考ワーク」です。
再掲:概念的思考トレーニング3ステップ
つまり、以下本章の冒頭で示した以下の流れとなります。
スタバの例を当てはめて考えてみましょう。
- 抽象化 :具体的な事象や経験から本質部分を抜き出す
→スタバの例:毎日競争の波にもまれて気が休まらない - 概念化 :本質の部分を言葉や図にして表現する
→スタバの例:人々は「気が休まる場所」がほしい - 具体化 :概念を行動に活かす
→スタバの例:コーヒーショップで「気が休まる場所」を提供し、ついでにコーヒーを売ることで事業活動する
上記のように、事象や経験をもとに「抽象化→概念化→具体化」の流れを考えていくことで概念的思考のトレーニングが可能です。
ぜひハンモックモデル、π(パイ)の字思考ワークを使って概念的思考にチャレンジしてみてくださいね。
概念的思考が学べる【おすすめ本3選を紹介】
最後に本章では、概念的思考が学べるおすすめ本を3冊紹介します。
最後の1冊は、無料で読める方法も記載してますので、参考にしてみてくださいね。
おすすめ①:コンセプチュアル思考
本書の内容
「問題解決では直観より論理が重要」は大間違い。
「直観⇔論理」「主観⇔客観」などを往復しながら本質をつかむ新たな思考法を紹介。
問題の本質をつかみとる新たな思考法。出典:本書の内容説明より
ポイント:上位レイヤーほど必要とされるコンセプチュアル思考
コンセプチュアル思考とは『直観⇔論理』『主観⇔客観』などを往復しながら本質をつかむ新たな思考法。
『本質を見抜く』ことをはじめ『前提を疑う・組み合わせを変える・新たな解決策を作り出す』といった思考活動が身につく。
『具体⇔抽象』を行ったり来たりする作業を極める難度高めの思考法ですが、身につけばビジネススキルは爆上がりです。
おすすめ②:「具体?抽象」トレーニング 思考力が飛躍的にアップする29問
本書の内容
「具体⇔抽象」とは、抽象化と具体化という形で具体と抽象を行き来する思考法のこと。
斬新な発想ができるようになるだけでなく、無用な軋轢やコミュニケーションギャップの解消にも役立つ。
そこで本書では、「抽象化と具体化の基本動作」から「仕事・日常生活における実践・応用の仕方」まで解説するとともに、トレーニング問題も多数用意。問題を解くうちに「具体⇔抽象」の思考回路が身につき、「自分の頭で考える力」が飛躍的にアップする一冊!出典:本書の内容説明より
ポイント:コンセプチュアル思考がクイズと共に学べる
コンセプチュアル思考の流れである『抽象化と具体化の基本動作』から『仕事・日常生活における実践・応用の仕方』まで網羅的に解説しています。
「具体⇔抽象」トレーニング 思考力が飛躍的にアップする29問は、クイズ形式で問題を解くうちに『具体⇔抽象』の思考回路が身につき『自分の頭で考える力』が飛躍的にアップします。
要約情報
おすすめ③:コンセプチュアル思考 物事の本質を見極め、解釈し、獲得する
本書の内容
ロジカルシンキング、デザイン思考とともに身につけておくべき21世紀の新・教養。正解のない時代、仕事とキャリアに揺るぎない軸を持つ。
出典:本書の内容説明より
※本書は「Amazonプライム会員」であれば無料(課金なし)で読むことができます。
以下で紹介する30日間無料キャンペーンを利用すれば無料で読むことができます。
Amazonプライム5つの得点
- Amazonが発送する商品が配送料無料
- 映画・テレビ番組が見放題
- 生鮮食品を最短2時間で配送
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(登録は1分ほどで完了できます)
まとめ:概念的思考を高めて本質を見抜く力を身につけよう
最後におさらいです!
概念的思考とは
- ものごとの本質をとらえることで課題解決につなげることができます
- 概念的思考で3つの能力を高めることができます
- 概念的思考はハンモックモデル・π(パイ)の字思考ワークでトレーニングが可能です
「概念的思考が課題です」と明確に認識している人は少ないかもしれませんが
本記事を読んで「自分に必要なことかもしれない」と思った人もいるのではないでしょうか。
概念化の能力は職位が上がるほど必要です。
つまり、優秀な人との差はこの「概念思考」で生まれているとも考えられます。
ぜひ本記事の内容を参考に「概念」を意識するキッカケにしてみてくださいね!