よくある疑問
- 帰納法、演繹法ってなに?
- 帰納法、演繹法ってどうやって使うの?
- 帰納法、演繹法の違いを知りたい
こんな疑問に答えていきます。
ロジカルシンキングでは代表的な思考法として帰納法・演繹法の2種類があります。
2つの思考法の違いを理解することで、結論を出すまでの根拠や材料の集め方がわかります。
こんな方におすすめ
ロジカルシンキングを学びたい新社会人
表面的でなく、深く自分で考える力を身につけたい人
企画や業務改善をしたい人
素早い判断が求められる人
分析力や仮説立てた論理思考を身につけたい人
この記事の信頼性
この記事を書いている僕は、本業は東証プライム上場企業の管理職を務めています。
- 上場企業の管理職
- 200名以上の従業員マネジメント経験
- 現在はIT企画部門
- 10億円以上のプロジェクト担当
- 経営層に向けたプレゼンが日常業務
業務はこんな感じです!
(Twitter:@logithin_labo)
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帰納法・演繹法とは何かを簡単に解説【問題解決に向けた推論2種類】
帰納法・演繹法とは、ロジカルシンキングにおける論理的推論の方法のことです。
推論とは
① 関係のある他の事柄にまで議論を及ぼすこと。論及すること。〔孔子家語‐致思〕
② 一つの判断から推して他の判断を導くこと。既知の事柄を基準として未知の事柄を論じること。推理。
※日本開化小史(1877‐82)〈田口卯吉〉六「以上述ぶる所の事実に拠りて推論するに」
③ =すいり(推理)
④ 押し問答すること。
出典:コトバンク
帰納法・演繹法とは
- 帰納法:個別的事例から普遍的法則を見出そうとする論理的推論の方法
- 演繹法:誰もが知っている普遍的事実を前提として結論を導き出す方法
ロジカルシンキングの問題解決には推論が必須
疑問:なぜ推論が必要なの?
日々、仕事をしていて最初から答えがわかっていることなんてないからです。
仕事、ビジネスの本質は問題解決の繰り返しです。
お金の問題、人の問題、モノの問題、日々さまざま発生する問題を解決することで労働の対価として私たちは給料をもらっています。
問題解決の中では、最初から答えがわかっているものなどなく
「~だろう」「~なはず」と判断して行動することが求められます。
つまり、問題解決には推論が必要です。
帰納法、演繹法はその推論の代表的な2つの方法です。
推論を具体例で考えてみよう
まだ推論がよくイメージできない。
という人に向けて例題で解説してみます。
推論の例題
- あなたがコンビニを経営しているとします
- お店の売上が下がっています
- 今月は少しだけ黒字でしたが
- このままだと来月は赤字になりそう
- あなたならどうしますか?
上記の問題に対してあなたはどう対処しますか?
- 売上が下がっている商品の実績を確認してみよう
- 接客を見直してみよう
- シフトを見直してみよう
おそらく上記のように問題をみつけて対処しようとしますよね?
「~だろう」「~なはず」と推測して改善行動につなげる、それが推論です。
推論の精度向上→問題解決能力UP
「~だろう」と推論をしても、当然100%的確に当てられる人はいません。
重要なのは、推論を裏付ける根拠を集めることです。
そのために帰納法、演繹法という方法が存在します。
次項から解説する帰納法、演繹法を理解して推論の精度を上げて問題解決能力を高めましょう。
帰納法の使い方を例題つきでわかりやすく解説します
まずは帰納法について解説します。
- 帰納法:個別的事例から普遍的法則を見出そうとする論理的推論の方法
- 演繹法:誰もが知っている普遍的事実を前提として結論を導き出す方法
帰納法は「個別の事例から法則を見出す」方法です。
さまざまな事例から導き出される傾向などをまとめて結論に導いていきます。
帰納法の具体例:コカ・コーラ
- 個別の事例①:(市場)世の中で健康志向が高まっている
- 個別の事例②:(競合)ゼロ飲料を出す企業が増加している
- 個別の事例③:(自社)コカ・コーラは世界一のコーラブランドである
結論:ゼロ飲料を出すべきである(ゼロコーラ)
上記では「①市場の視点 ②競合の視点 ③自社の視点」という3つの個別事例から推論して
ゼロコーラを出すべき、という結論を導きました。
これらを全て「~だろう」「~なはず」で言い換えてみます。
- 個別の事例①:(市場)世の中で健康志向が高まっているので健康志向の製品ニーズが高いだろう
- 個別の事例②:(競合)ゼロ飲料を出す企業が増加しているのでゼロ飲料は求められているはず
- 個別の事例③:(自社)コカ・コーラは世界一のコーラブランドであるのでコカ・コーラのゼロ飲料は売れるはず
結論:ゼロ飲料を出すべきである(ゼロコーラ)
上記のようになります。
このように個別事例より根拠を集めて結論や仮説に導くのが帰納法です。
帰納法の注意点
ただし、帰納法で思考するときは以下に注意しましょう。
- 根拠とした材料に誤りがあると成立しない
帰納法は、個別に異なる事例の中から共通点を見出して根拠としていくため、その根拠に誤りがあると論理が成立しません。
例えば上記のコカ・コーラの例でいうと
「個別の事例①:(市場)世の中で健康志向が高まっている」は、最近健康志向を取り上げた報道が増えているが
実際のところゼロ飲料は評判が悪く、ヒット商品は生まれていない。
上記のように状況証拠自体に信ぴょう性がない場合、「では、ゼロ飲料を出すべきだ」という結論につなげるには無理が出てきてしまいます。
よって、根拠とした要素をしっかりと洗い出す必要があります。
演繹法の使い方を例題つきでわかりやすく解説します
次に演繹法について解説します。
- 帰納法:個別的事例から普遍的法則を見出そうとする論理的推論の方法
- 演繹法:誰もが知っている普遍的事実を前提として結論を導き出す方法
演繹法は「誰もが知っている普遍的事実を前提として」結論を導き出します。
具体例を確認するとわかりやすいです。
演繹法の具体例:哺乳類
- 前提①:犬は哺乳類である
- 前提②:哺乳類には血液が流れている
- 結論 :(たぶん)すべての犬には血液が流れている
演繹法では上記のように「誰もが知っている情報」「一般論」
つまり、普遍的な事実を前提に思考する方法です。
演繹法の注意点
演繹法では以下の2点に注意しましょう。
帰納法同様に前提とした一般論に誤りがあると論理が成立しない
- 事実をもとにしているため導いた結論もまた事実になる
演繹法の特徴は「誰もが知っている普遍的事実を前提として」結論を導き出すことにあります。
ゆえに、演繹法で導いた結論もまた普遍的な情報になります。
つまり、演繹法で導いた結論では新たな情報や気づきにはつながらないということになります。
演繹法で思考しても知識は増えないことがほとんどです。
帰納法・演繹法の違いを解説【2つの推論を比較】
- 帰納法:個別的事例から普遍的法則を見出そうとする論理的推論の方法
- 演繹法:誰もが知っている普遍的事実を前提として結論を導き出す方法
再掲になりますが、上記が帰納法、演繹法の説明です。
2つの思考法の違い
- 帰納法は、根拠をさまざまな事柄から見出して結論に導く
- 演繹法は、普遍的事実を前提として結論に導く
簡単に言うと上記が2つの思考法の違いになります。
帰納法・演繹法の特徴
2つの思考法の違いとしては下記が特徴です。
- 帰納法は、新たな結論・仮説を生み出す
- 演繹法は、普遍的情報のつなぎ合わせ
演繹法は、普遍的な情報をつなぎ合わせるため導き出した結論もまた普遍的なものとなります。
対して、帰納法は個別の事例より共通点を見出して新たな結論や仮説を生み出します。
つまり、帰納法の方が新たな発見や知識を生み出す思考法といえます。
分析力を高めるのは「帰納法>演繹法」
普遍的な事実を集めるのが演繹法、新たな結論や仮説を見出すのが帰納法です。
演繹法は前提とする要素に既に誰かに証明された結論があります。
そのため、答えを持ったうえで次の結論を推論することができますが、
帰納法は新たな結論を出す思考法です。
何か新しいことにチャレンジしていくためには帰納法が必須です。
まとめ:帰納法・演繹法の違いを理解して思考力を高めよう
最後に簡単におさらいしていきます。
- 問題解決には推論が必須です
- 推論の方法として「帰納法」「演繹法」2つの方法を解説しました
- 普遍的事実を集めるのが演繹法、新たな結論や仮説を見出すのが帰納法です
- 分析力を高めるには「帰納法>演繹法」
本記事では上記のようなことを解説してきました。
2つの思考方法の違いを理解して使い分けて思考力を高めていきましょう!